ですってよ…!!
orz
最早忘れ去られているであろう病院パロの続きが出来たので続きに放り込みました。
前のお話は
これと
これを見てください…
日付確認してびっくりした…そうかもう1年経つのか…
成長してない…笑
患者の担当医とぶつかって数日。
カルテばかり見ていても埒が明かないと、休憩がてら屋上に来たハボックは、煙草を吸いながら見下ろした中庭に、彼を見つけた。
自分同様に休憩中なのか、ベンチで分厚い本を読んでいる姿を見るともなしに眺める。
ロイ・マスタング。
黒い髪と黒い切れ長の目に、これまた黒い眼鏡をかけた白衣という病院では珍しくない姿も、中身が彼だというだけで自然と周囲の視線を集めるものになる。
まだ30代前半でありながら、優秀な小児外科医として名を馳せていて、そのうえ――これは実際目にして知ったことだが――外見まで整っているとくれば、看護士から患者、果ては病院に来る見舞い客まで世の女性たちが放っておくわけもなく、しかも彼女らのどんなアプローチに対しても綺麗に対応して見せるのだから、その評価は医術の腕と共にうなぎ上りだ。
小児科医になる医師は年々減り続けている中、多くの期待を集めている有能な人物。
ハボックがこの病院の誘いを受けたのも、小児医療が充実していることに加えて彼の噂を聞いたからだった。
しかし結果はこれである。
初日から見事に患者の対応でぶつかって、印象は最悪だ。向こうだってそうだろう。
今回の件とて、必要な患者にリハビリをさせない医師など聞いたこともない。
先日のやりとりを思い返してじわじわと苛立ちが湧き上がりかけるが、今は彼をどうこう言うよりも、患者が先だ。
眼下では、周囲の音も聞こえていないのではと思うくらいに本に没頭しているロイを、外で遊んでいた子どもたちが見つけて駆け寄っていく。
子どもは、自分たちと真剣に向き合う大人とそうでない大人を的確に見分けるとハボックは思っている。
――そして、彼の周りがいつも賑やかになることも、知っていた。
(……あ、こけた)
群がった子どもたちの中に白衣が消えた。案外と鈍いらしい。
白い色が子どもたちをかき分けて脱出する様を眺めながら、ふっと友人の言葉を思い出した。
(優秀、ねえ……)
まったくもって気に入らないが、医師としての腕は確かに優秀だ。子どもや保護者への対応もそつがない。
やり方はどうあれ、患者の回復を願わない人ではないことくらいは分かる。
その彼が少年の意思を尊重しているということは――この判断にも、何かあるのかもしれない。
なにか思うところがあっての行動でも、周りへは何も言わない――本人は、それは言い訳だと思っているフシがある――のがあの人だということも、薄々ではあるが分かってきた。
今さらそのことに気づく辺り、自分も周りが見えなくなっていたらしい。
熱くなりすぎると突っ走ってしまう己を反省しながら、遠くに見える姿に向かって呟く。
(話さないあんたにも、問題あると思うんスけど)
おまえは信用されていないのだとつきつけられているようで、きつい。
そうしてまたその思考回路にはた、と止まった。
(……俺、信用されたいのか?あの人に?なんで?)
うーん、と首を捻って考えるも、答えは出そうにない。
まあ、とりあえず。
「路線、変えてみるか」
まず落とすのは、患者ではなく。
ハボックは、眼下のターゲットを見据えた。
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